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不動産屋のおもしろ話 第十五話

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そっちかよ。

これはまだ私が東京に上京したばかりの頃のお話。

「すいません、ちょっといいですか?」

新宿駅前を歩いていた時、突然若い女性に声をかけられた。

「ひゃぁ、はい?!」

見知らぬ若い女性に声をかけられる事に慣れていないおじさんの声は裏返っていた。

「お忙しいところすいません、アンケートにご協力頂けないでしょうか」

あ、テレビとかでよくみるやつだ。時間もあるし、協力してあげましょ。

Q将来に不安はありますか?   うーん、無くはないけど「いいえ」と。

Q不労所得に興味はありますか? あるある。不動産屋だし「はい」。

Q職業・年収はいくらですか?  結構具体的に来るな。「会社員で年収は〇〇〇と」。

Q現在の預金残高はおいくらですか? うーん「ちょっとだけ」。

Qお名前・電話番号をご記入ください。 ・・え?これって何かの勧誘?まさか新手の逆ナンパ!?

「これも書かなきゃだめですか?」

「はい!弊社お勧めの収益物件を優先してご紹介しておりますので!」

そっちかよ。

早ぐ言えや(NCV風に)。

特定商取引法違反でタレこんだら一発行政処分だぞ。

それにしても、この手の投資勧誘にひっかかる様なカモに見えたかなあ。

もうキョロキョロしながら歩くのやめとこう。田舎者ってバレてる。

ちなみに投資用ワンルームマンションを扱う不動産会社は「買わせてなんぼ」の世界。

実に巧みなトークで商談やセミナーに誘ってくるのでご注意を。

これこそまさに「飛んで火にいる夏の虫」であり、買ったのはいいが空室埋まらず結果持ち出しになるのはよくある話。

売った側に責任追及することもできず「投資は自己責任」となる。

ひと昔、あなたの携帯電話にも一度はそんな電話がかかってきた事、ありませんか?

むやみやたらに電話勧誘していたあの頃とは違い、最近は勧誘方法が進歩し、SNSや結婚紹介所などの婚活で知り合った相手が営業マンだったということもあるそうで。

実はこの婚活営業、やり方はとても理にかなっている。

年齢・年収・職業・趣味など、あらかじめ絞り込んだ相手をご丁寧にプロフィール付きで紹介してくれるのだから。

ほぼ犯罪だけど。

彼らも同じ不動産業という括りになるのだろうけど、相手が後悔したり悲しむような仕事をする連中をあえて私は同業者と言わないし、認めない。

それにしても東京という所は歩いているだけで様々な人から声をかけられる。

道を訪ねてくる人はまだましだけど、東京はそれすら国際化していて困る。

英語圏ならともかく、中東やユーロ圏は全くわかんない。

街頭スピーカーで「歌舞伎町での客引きは禁止されております。皆様ついていかないように気を付けましょう」とガンガン流れている中で、数十メートルおきに「お兄さん!居酒屋どうですか!」「キャバクラは!」「ガールズバーどうですか!」と客引きが寄ってくる光景は、田舎者から見ればまさしく異世界転生ものである。

数か月後。

仕事を終えて新宿駅近くのベンチで休んでいると、一人の女性がこっちに向かってくるのが見えた。

お。久しぶりに来たかな。

ちょっとからかってやる。

「すいません、ちょっといいですか?」

きたきた。

それにしてもずいぶんご高齢なおばあさんだな。

こんなオカンくらいの人まで働かせるなんて、どこも人手不足なんだねえ。

「お兄さん、今から美味しいものでも食べに行かない?」

「ひゃぁ!結構です!ε=ε=ε=ヾ(*ΦωΦ)ノ」

そっちかよ。

このブログを書いた人
さいとう